他の人からすると、ただの古いDVDかもしれないが、僕にとっては垂涎の一品だった。
DVD買取をしてもらおうと、ネットで買い取りサイトを探していたとき、その1枚を見つけた。これをDVD買取に出してくれた元持ち主、買い取ってくれたこのお店、全ての人に“ありがとう”と握手してお礼をいいたいくらいに嬉しかった。
それは僕が小学生の頃、夢中になって観ていた戦隊物で、僕と同年代の男性なら誰もが懐かしむ作品。でも、僕にとってはそれ以上に価値のある作品だった。なぜならば、一昨年不慮の事故で亡くなった兄が大好きな作品だったから。
さっそく購入し、じっくりと観る。今となってみると、ちゃちなセットに、安易なストーリー。なんであんなにも、一生懸命見ていたのだろうと、我ながらおかしかった。でも僕はいつしか泣いていた。隣で一緒になって真剣に見ていた兄。けんかの耐えないやんちゃな兄弟だったけれど、僕は本当に兄の事が好きだったのだと、今頃になって気が付いた。
たった1枚の中古DVD。でも僕にとってはかけがえのない1枚。

